「私、誠先輩の優しさを利用しただけだった……」


「それは……、俺から『利用していいよ』って言ったことだしさ。それに、昨日の電話でもう吹っ切れた」


「……誠先輩……」


それでも、私はまだ2人に対する罪悪感から、顔を上げることができない。


「それにさ、碧」


今度は、律が少しうれしそうな、照れているような声で言った。


え……?


その口調に、私は顔を上げる。


すると……手をつないで、微笑みあっている誠先輩と律が見えた。


え? なんで? どういうこと?