いぢわる王子様

清子さんは突然私の手首をつかみ、屋台の中から引っ張りだした。


火の暖かさがなくなり、急に体温が下がっていく。


「すぐるにはね」


「なによ」


「イイナズケがいるのよ」


……え?


清子さんの言葉が、私の中を通りぬける。


「い……い……?」


唖然として、言葉が出ない。


いいなずけ。


……許婚。


何度その言葉を繰り返しても、理解できない。