いぢわる王子様

☆☆☆

「更衣室で見た男の人、1こ上の先輩だったね」


もうとっくの前にチャイムが鳴った後、トイレの個室で着替えながら、律が言った。


「そうなの?」


私は、鏡の前で少し赤くなった目を確認しながら、返事をする。


まだ、胸の奥がジンジンと痛むけど、ここで泣いたら本当に負けてしまう。


ライバルになるつもりなんてない。


だけど、負けるのだけは嫌だ。


「私見たことある人だった。たしか……誠って呼ばれてた」


「へぇ……」


私は、気のない返事をする。