「オーディション、だめだったんだ」


席に着き、開口一番にそう言った要。


ゆずは、グラスに氷を入れていた手をピタリと止め、マジマジと要を見つめた。


「そう・・・・・なんですか?」


「うん。今日、電話で聞いた」


「でも―――なんか、嬉しそうですよ?」


不思議そうに首を傾げるゆずに、要は楽しそうにくすくすと笑った。


「うん、まあね」


「教えてくださいよ。何かあったんでしょ?」


拗ねたように頬を膨らませるゆずに、要はまた笑った。