「―――タケさんのところに行ってたんだ。でも、なんか気になって・・・・・結局何もできなかったけど」


要の言葉に、ゆずは首を振った。


「来てくれただけで、嬉しい。あたし、昔から女の子と話すのが苦手で―――男の子とはすぐ友達になれるんだけど、そうすると余計に女子に嫌われるっていうか・・・・・だから、なかなか女の子の友達ってできなくて」


苦笑するゆず。


いつものように明るくふるまってはいるけれど、その表情はやっぱり痛々しかった。


「―――タクシー、遅いね」


通りに目をやるゆず。


要はその言葉にはっと我に返った。


「ああ・・・・・あのさ、これから―――」


要が言いかけた時。


店から出てきた人影に、ゆずが気付いた。