その日の夜、要は何となく高揚した気分で『Angie』を訪れた。


タケと約束したというのもあったけれど、この日はゆずの顔が見たくて。


「要さん、いらっしゃいませ」


席につくと、ほどなくゆずが現れた。


「今日も来てくれるなんて思わなかった。なんか、嬉しい」


そう言って笑うゆずに、要も自然と笑顔になる。


「ゆずちゃんに、報告したいことがあって」


「あたしに?」


ゆずは、きょとんとして要を見つめた。