そんなゆずを、要はじっと見つめていたけれど―――


やがてすっと立ち上がると、ゆずの目の前に立った。


「ゆず―――こっち、見て」


要の声に、ゆずはゆっくりとその顔を上げようとして―――


要と目が合いそうになったその瞬間、ゆずは思い切り抱きしめられていた―――。


「―――要―――」


「―――すげえ悔しい」


切なげな要の声が、ゆずの耳元に響いた。


「ゆずを―――誰にも触れさせたくない。あいつに言ったことなんて、うそだ。本当は、ゆずは俺のものだって言いたい。ずっと―――1人占めしてたい―――」


「要―――」


「―――ごめん、これ、単なる俺のわがまま・・・・・。ゆずの気持ちは、ちゃんとわかってる。だけど―――」