「美緒ちゃーん」 何度も何度も私を呼んでる声を無視する。 大きなだるそうな溜息が聞こえて、哲が私の前にドカッと座り直した。 「ちょっと、邪魔」 「うるせーよ」 「もういい、帰る」 冷たい視線が絡まった後、立ち上がり荷物を取った私の手を哲が引っ張った。 「帰さねーし」 そう言って、ギュッと私を抱きしめた。 たった、それだけでドキドキと煩い位に音をたてた心臓は今にも爆発しそうで。 何も言えなくなってしまったんだ。