「な、何わけわからん事言ってんよ。退いて」 少し低くした声で呟くと、そっと離してくれた。 え。 あ、いや。 退いて、って言ったし。 離して欲しいとも思った。 思ったけどね? まさか、こんな簡単に離してくれるとは思ってなかったから…… ちょっと残念かなって。 あー、もう! 私、矛盾し過ぎ!!! 「美緒ー」 「な、何よっ!」 絶対真っ赤な頬を両手で押さえ、座った私は哲に背を向ける。