耳に当てた携帯から聞こえる呼び出し音。



そして気付いた事。

てか、何を話すんだ!?

そう思った時には、さっきの高い声の女が怒った口調で話し出していた。



《あ、哲君!? さっきの電話何よー!》

「え? あぁ、ごめん」



って何で俺は謝ってるんだ!?


スッと伸びてきた手。

その手に横から携帯を取られ、その状況を見てるだけの俺。



「あーもしもし? 私、哲の彼女やから、もう電話せんといてな」



そう言って、その手の主は勝手に電話を切り、にっこりと微笑んで、その手で俺に携帯を渡した。


俺も釣られて笑う。

勿論、満面の笑みなんかじゃなくて、引き攣った笑顔。



「哲、浮気したら…わかってるやんな?」



そう微笑んだ美桜の笑顔が悪魔に見えた気がしたけど……。

これも惚れた弱味。



好きなった方の負けって事で。





-END-



⇒後書