「夏葵ぃー♪」
「きゃぁ!?」
後ろから突然抱きつかれる。
「美羽(みう)!?」
「夏葵ー」
「佳奈!?」
あたしの、親友たちだった。
「…びっくりした…何?」
元気な美羽と、クールな佳奈。
この2人はバンド部でも一緒だ。
「明日からバンドやるよっ♪」
「そーゆーこと。ちゃんとエレキ持ってきてね」
そう言う2人に唖然とするあたし。
「急だね…」
「なんか、久々に歌いたいじゃん♪あたしはキーボード弾きたくてしょーがないよっ」
キーボードの美羽が、にっこり笑う。
「……あたしだって、ベース弾きたいし」
ベースの佳奈も、笑う。
「よぉし…やるか♪」
やる気になったあたしに、2人が満足そうに笑う。
「……晴輝(はるき)と拓哉(たくや)は?」
もう1人のギター兼ボーカルの晴輝。
ドラムの拓哉。
これがあたしたちバンド部のメンバーだ。
「2人もくるよ♪楽しみだね!じゃぁねっ」
そう言って美羽がにこって笑ったあと、
“隣のイケメンくんについては、明日ゆっくり聞かせてもらうよ〜”
あたしの耳にギリギリ届いた小さな声で言い、さっていった。