翔太の香りにつつまれ、 あたしは泣いた。 ようやくあたしが泣き止むと、翔太はあたしに言った。 「…………夏葵、歌って」 「………え?」 「………夏葵の歌、聴きたい」 「…翔太」 あたしは、ギターを手にして、歌い出した。 あたしがバンド部の時に使っているエレキギターではなく、 お兄ちゃんの龍一からもらったギターで。