「あの…砂糖って…」 「ブラック飲めないのかヘタレ」 ううっ…と唸ると クスクスと嬉しそうに笑う。 俺が困ると彼女は笑う。 なんだか理不尽だが この不器用な笑顔を 見れるだけマシか。 ―ドンッ 演習室の奥から 物音がした。 左端にある古いドア。 彼女はそちらを見て 小さなため息をする。 「あそこに近づくな」 「え。」 「禿げるぞ」 「え!?」 禿への扉ですか…。 俺は貰ったコーヒーを ゆっくりと飲む。