「失礼ながら、貴方の事は少しながらも調べさせて頂きました。フェニアス教授にもお話を伺いました」
「フェニアス教授に?」
やっと話に食い付きはじめたエドガーを満足そうに見つめ、エミリアは話を続けた。
エドガーが反応を見せた、フェニアスとは、ルードロブグルフ大学一の老人教授の事である。
エミリアはエドガーの事を調べていくうちに、フェニアス教授がエドガーの秘密を知っているという推測に辿り着いた。
そして先日、遂にフェニアス教授からエドガーの事について聞き出すことに成功し、確信と不安を持ってこのホワイトローズ通りに足を運んだのである。
「エドガーさん、貴方は…過去や未来に飛ぶことができる、そんな力を持っている。違いますか?」
エミリアが強い調子で問い掛けると、エドガーは持っていたカップを置き、初めてエミリアと向き合った。
「エミリアさん、と言いましたっけ?貴方は僕のその力を信じているんですか?」
「もちろんです!確かに最初は耳を疑いましたけど…フェニアス教授から聞いたことですから」
自信満々に答えると、エドガーは眉を下げ、「フェニアス教授も困ったものだ…」と小さく呟いた。
「エミリアさん、」
エドガーはしばらく考え込んだ後、口を開いた。
「女性からの頼みを断るわけにはいきません。だから、僕が出来る範囲内でなら力をお貸しします。ですが、まずはなぜ僕の力が必要なのか話を聞かせてください」
エドガーは優しく笑い、続けた。
「それから一緒にフェニアス教授の所に行きましょう、それからでも遅くありませんよ」


