私が彼に出会ったのは、寒い冬の日でした。




あの日も今日と同じような灰色の空が広がり、午後からは雪が降るだろうと予報されていました。



私は厚い雲でおおわれた空を見上げ、鞄を持ちなおすと中庭を歩きだしました。





これから起こる、あの何とも不思議で信じがたい、しかし現実に起こった、『事件』に巻き込まれるとも知らず―……