あー…雨じゃん‥。
手に、雨粒がついた。

私は吸いかけのタバコを
消そうと思ってやめた。
どーせ雨で消えるだろうから
それまで吸ってよう。


雨もいいかな。


きっと私の心の雨雲が、私の体から染みだしてしまったんだ。


もっと降ればいい。
雲でくすんでほとんど見えなくなった月に手をかざしてみた。


それとほぼ同時に、より一層雨がひどくなった。


すごいじゃん。ホントに出てるんだ。


なんとなくうれしくなって、
月に話し掛けた。


「お互い、大変だねぇ…。」





『何言ってんの?てか、何してんの?いつも。』



え、何今の声、月?



そんなわけないや。
私は視線を声のした方に向けた。

変な男が、以外と近くに立っていた。

急に止んだと思った雨は、ソイツの傘のせいだった。