また、いる。




バイト帰りの深夜3時半。


今日のバイトは最悪だった。
酔っ払いオヤジにからまれた。
オヤジは日頃の欝憤を晴らすかのように、
接客がわかってないやら、髪の毛が長いやら、目付きが悪いたら、
なんでもいいから文句をつけて、俺にストレスをぶちまけてきた。

俺にぶちまけられてもなー…



俺は自分の髪型やファッション、ピアスの数、眉毛の形、
つまり俺が自分を好きなように変化させた部分をけなされるのが大っ嫌いだ。

オヤジは見事にそこを突っ込んできた。


すごく、イライラする。



込み上げてくるよくわからない感情は、
表にだしてはいけない、危険な香がした。



とりあえず深呼吸して、


目を瞑った。

頭の中なら、
いいだろう。

また息を吸って、

鈍器でやつの頭を数回殴り、
腹を蹴っ飛ばすのをイメージする。



俺は、何でもできる。



目を開いて星を眺めたころには
胸のムカムカは多少解消されていた。




…まぁいい。

そんなことはどうでもいい。


俺は小さな公園の薄暗い電灯の下にあるベンチに目をむけた。


あの女は
いつもこの公園のベンチに座っている。