他の客の邪魔にならないようにと奥に移動した。


「どうして黙ってたの?」

「結衣、ネットカフェとか嫌だって毛嫌いしてたじゃん」


テレビの情報をそのまま飲み込んで、あまり良い印象を持っていなかったのは確かだ。

だからって、隠し事するなんて・・・。



「ここにはいろんな客がくる。結衣みたいに終電を逃した人、サラリーマン、カップル、後は・・・」

「・・・・・?」

「ここで働くようになって、得たことが沢山ある。」



シンちゃんの瞳はマジだった。

漫画やネット、閉鎖されたこの空間で、何を学ぶっていうの?

私にはどうしても理解できなかった。



「とにかく、朝になったら一緒に帰ろう。話も後でゆっくりと。」

「…うん。」


そんな私たちを見つめる怪しい人影に、私は気づきもしなかった。