すたすたと教壇へ歩いてきた奴は、言葉を切り出した。
「白羽 柚といいます」

まだ声変わりもしてないような幼い声で奴は続ける。
「家の都合で引っ越して、この学校に入学しました」


茶色がかった髪、大きい瞳、小さな背。
本当に高校生か、中学生かと思われるほどの幼さ。

話が終わり、席に着き、先生が今度は話し出す。


「白羽君は遠くから引っ越してきました、皆仲良くするように。」


白羽は割りと席が近く、離しかけて聞こえるくらいの距離だ。
というか、後ろの席だ。


「よ、よろしく」

「よろしくね」


なぜか緊張してしまう。
無機質なチャイムが鳴る。


・・・そのとたん、女子がわっと集まってきた。
女子というか、腐女子が。


「白羽くんはどういう人がタイプ!?」
「もしかして早乙女とか?」
「意外と星矢?」
「浅木とかは!」
「さすがに星矢はないでしょ!」


いきなり腐女子質問を受けた白羽は、
驚いて唖然としている。


「おいやめろよ、いきなりそういうのは可哀そうだろ」

俺が割って入るが、
「きゃっ、やっぱ白羽君と早乙女、お似合いだよ!」


完全敗北。


同じ男としてかばってやることが、腐女子には効果が無いのだ。
むしろ逆だ、かえって良い効果を与えてしまってる。




「し、白羽にそんな趣味はねぇ!
 な、なぁ、白羽!」

「う、うん!」




まるで漫画だ。
これからの学園生活、大変になりそうだ・・・。