泡たっぷりのコ−ヒ−は、世の中にこんなにうまい飲み物があったのかってぐらい、
おいしかった。
「本当においしい」
横にいる小島に、少し泣いた事がばれないように
前を向いたままそう言った。
「落ち着いたか?」
え…………
「怖い思いさせて…ごめんな」
怖い…思い………
あ、校舎で迷子になった事………?
「そんなの小島くんのせいじゃないから。
私が勝手に…
だから…こっちこそ
ごめんね」
「なんか…」
言いたげな小島に、
思わず小島の方を向いてしまった。
小島は少し切なそうな顔をしていた。
そして、一度下を向いて、ふっと笑った。
小島はそのまま何も
話さなかった。



