小島の顔を見て 我にかえった。 「小島………くん」 「沢渡、俺のかばん」 あ… 「ごめん…」 そう言って小島に腕を引っ張られて立ち上がり 小島にかばんを渡した。 小島は私の手を繋いできた。 「帰るぞ」 小島はそれから何もしゃべらなかった。 何も聞いてこなかった。 学校の駐輪場まできて、また 当たり前のように私のかばんを前カゴに乗せて 私が後ろに座るのを 待ってくれた。 私が座ると また 当たり前のように 私の両手を自分のお腹に回したんだ。 何もいわずに………