「悠斗、ありがとう」 悠斗の背中にくっつきながら言った。 「何が?」 「悠斗と出会えて、私、 前を向いて歩けるようになった」 「おっ。そっか」 悠斗は前を向いたまま、チャリをこいでいた。 「ずっとこの先も ずっと ちゃんと前を向いて歩いて行く私を そばで、見ていてほしい」 信号で止まった。 悠斗はお腹に回していた私の手を、ぐっと強く自分に引き寄せた。 「ちゃんと、つかまっとけよ」 信号が青になって また悠斗は走り出した。