「ちょっとー、電話かけてるんだから、静かにしてよー! 今交渉中なんだから。っていうか、誰と話してたの?」
「……は?」
よく見ると、尚夏の右手には、何もデコられていない、シンプルな白い携帯が。
「えっ、まさか、私に言ってたんじゃなかったの?」
「? 私、ミツが用意し始めてからは、ミツには話しかけてないよ?」
その言葉を聞いた瞬間、顔から火が出そうになった。っていうか、顔で火事が起きている。
「……まさか、ミツ。自分に話しかけてるとか、勘違いしちゃった感じ?」
笑いをこらえながら言う尚夏。あわてて、私は弁解を始める。
「ちっ、違う! 違うから! そんな馬鹿な事、するわけないじゃん!」
しかし、真っ赤な顔だったからか、逆効果だったようだ。まるで笑い袋のように、尚夏が大爆笑し始める。
「ちょっと、尚夏! 電話中なんでしょ!? 向こうに聞こえるじゃん、やめてよ!」
そう叫ぶと、「あ、そうだったそうだった」と、尚夏は再び、携帯を耳に当てる。しかし、まだクックックと笑ったまま。
「ごめんごめん、うん。え? あー、いや、ミツがね、さっき……ックックック……」
尚夏は、電話の相手に、今までの経緯を話し出す。いたたまれなくなった私は、耳を手でふさぎながら、尚夏への仕返しをどんな物にしようか考え出した。
──うーん、くすぐるとかが妥当かな……。物壊したりはさすがに駄目だし……。それか、尚夏の恥話を、春や玲菜に大暴露とか……。
しかし、考えがまとまらない内に、尚夏に話しかけられる。
「勉強会やってもいいってさ! ……? ミツ、怒ってる?」
「そりゃ怒るよ、よくも人の恥を……」
「あ……あはは、ごめんごめん! だって、すごい面白かったんだもん」
「尚夏、私ね、やられた事は10倍にして返すタチなんだー」
「怖い! 怖いよ! 悪かったよごめん! だから、その虚ろな目やめてよ!」
尚夏が怯えながら謝るが、今更遅い。
フン、とそっぽを向いて、鞄を持つ。そして、尚夏に一言。
「ほら、早く行こ」
怯えた笑みを見せて、尚夏も鞄を持った。
「……は?」
よく見ると、尚夏の右手には、何もデコられていない、シンプルな白い携帯が。
「えっ、まさか、私に言ってたんじゃなかったの?」
「? 私、ミツが用意し始めてからは、ミツには話しかけてないよ?」
その言葉を聞いた瞬間、顔から火が出そうになった。っていうか、顔で火事が起きている。
「……まさか、ミツ。自分に話しかけてるとか、勘違いしちゃった感じ?」
笑いをこらえながら言う尚夏。あわてて、私は弁解を始める。
「ちっ、違う! 違うから! そんな馬鹿な事、するわけないじゃん!」
しかし、真っ赤な顔だったからか、逆効果だったようだ。まるで笑い袋のように、尚夏が大爆笑し始める。
「ちょっと、尚夏! 電話中なんでしょ!? 向こうに聞こえるじゃん、やめてよ!」
そう叫ぶと、「あ、そうだったそうだった」と、尚夏は再び、携帯を耳に当てる。しかし、まだクックックと笑ったまま。
「ごめんごめん、うん。え? あー、いや、ミツがね、さっき……ックックック……」
尚夏は、電話の相手に、今までの経緯を話し出す。いたたまれなくなった私は、耳を手でふさぎながら、尚夏への仕返しをどんな物にしようか考え出した。
──うーん、くすぐるとかが妥当かな……。物壊したりはさすがに駄目だし……。それか、尚夏の恥話を、春や玲菜に大暴露とか……。
しかし、考えがまとまらない内に、尚夏に話しかけられる。
「勉強会やってもいいってさ! ……? ミツ、怒ってる?」
「そりゃ怒るよ、よくも人の恥を……」
「あ……あはは、ごめんごめん! だって、すごい面白かったんだもん」
「尚夏、私ね、やられた事は10倍にして返すタチなんだー」
「怖い! 怖いよ! 悪かったよごめん! だから、その虚ろな目やめてよ!」
尚夏が怯えながら謝るが、今更遅い。
フン、とそっぽを向いて、鞄を持つ。そして、尚夏に一言。
「ほら、早く行こ」
怯えた笑みを見せて、尚夏も鞄を持った。
