「結局、あれからひーくん
戻ってこなかったね。」
授業が終わり、勇斗は呟いた。

「ね。何処行ったんだろ。」
あたしは帰る仕度の手を止め
勇斗の言葉に頷いた。

「ねぇ、美穂。こんなこと初めてなんだよ
ひーくんが俺を置いて
どっかに消えちゃうなんて。
今までずっと一緒だったけど
こんなこと、あれ以来なかったのに。」

あたしは勇斗の言っている意味が
気になった。

「あれ以来って、あれって何?」
あたしが尋ねると驚いた
顔をして勇斗はあたしの方をみた。

「美穂、何も覚えてない?」
勇斗はあたしに問いかけてきた。