「実はですね!
最近、小泉先輩名物奥様の愛妻弁当
持ってきてないのご存知ですか?」
名物って…
苦笑いを浮かべながら頷く先輩。
「なんとなんと、原因は
奥様が二人目を妊娠中で実家に
帰ってるかららしいんですよぉ!」
「はぁ?期待させといて
何よその微妙な噂は!」
良かった…バレてない…。
先輩が同期の首をヘッドロックして
上司に注意されて仕事を再開した。
バレなかった…良かった…
背中にうっすらかいた汗がひき、
ふぅ…と息をついた。
安心で心の緊張も緩む。
すると、別の感情がむくむく起きた。
それは、優越感。
優越感が次第に胸を支配し、
心が浸っていく。
入社したての頃は、毎日小泉先輩の
一挙一動に注目していた同期の
仲間たちから、一歩リードした位置にいる
今の自分が誇らしかった。
最低だ。最悪だ。
小泉先輩の純粋に心配してくれる
気持ちを利用して近付いているだけなのに。
何が、優越感だ…

