ツナ&エマ〜カレーなる日曜日〜





「そんな大事なときに…!

すみません、私ったら自分のことしか

頭になくて…」


「はは、いいんだって。

妻は俺より逞しいし、出産も2度目だし。

というか、男の俺に出来ることって

かなり限られてるからさ。

逆に俺は家にいるより気が紛れるから

八木には感謝してるんだ!」




私に気を使ってそう言う先輩に

申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

だけどそれすら見透かして、

小泉先輩は言う。




「なんか、逆にごめんな。

八木を利用してるみたいで」




「そんな…!

私は小泉先輩にすごく

助けてもらってるんです。

感謝してもしきれないくらいに。

ですから、あの…私のことよりも

奥様を大事にしてあげて下さいね」




「ありがとう。

でも、俺に変な気遣いなんかしないで

いつでも相談してきていいからな!」




ランチセットのサラダを頬張って

キラキラ眩しい笑顔を放つ先輩に

心を奪われるのは簡単なことだった。




「次は男の子がいいなー。

最近はメイがやたら妻の肩をもつから

肩身が狭いったらありゃしない」




打ち明けたことで気が楽になったのか、

生まれてくる子供の性別や名前まで

アレがいい、コレがいいと話してくれる。




奥様とも、こんな会話をしてるのかな。

きっと膨らんだお腹を優しく撫でながら

小泉先輩と奥様は笑っているんだ…。




そんなシチュエーションを想像して

軽い嫉妬を覚えた。




私が…先輩の奥さんだったらいいのに。

きっと、辛い思いもせず

暴力とは無縁の明るくて幸せな

家庭を築けたのに…。




どう頑張っても、先輩の目に写るのは

私じゃない。…素敵な奥様だけ。




お願い、一度でいいから…。

その笑顔を私だけに向けて…。




そんな途方もない思いが

胸にズシリと座り込んだ。