わざわざ寝たふりをして
私を油断させて殴ったの……?
私を見上げる冷たい視線。
その場にへなへな座り込んでしまう。
怖くて、直視出来ない。
怖くて、立ち上がれない。
「アカネ…」
彼は私に近づいてきて、
私の身体をぎゅっと抱きしめた。
「?!」
身体が大きく跳び上がる。
彼は大きな手の平で私の頭を撫でて
耳元で小さく「ごめん」と言った。
目に涙が浮かぶ。
恐怖からなのか、それとも…
その夜、私はお風呂の中で
小泉先輩にメールを送った。
『今日はありがとうございました
私は小泉さんだけが頼りなんです…
ご迷惑かけてすみません。
おやすみなさい』
本当は泣いて縋り付きたい。
だけど、顔も知らない奥様と
可愛い笑顔のメイちゃんが
それを阻止しようと立ちはだかる。
だから、精一杯の気持ちを込めて。
その夜、私は夫に抱かれた。

