「ぁ、いけない。今日の本題は違うんだ」
ぽん、と手を打って
小泉先輩が鞄から何かを漁る。
「コレ、コレ!」
コーヒーを脇に避けて、
テーブルに何かの資料を広げた。
マーカーの跡や、付箋がたくさん。
仕事の書類かな?と思ったほどだ。
「ちょっと場所がアレなんだけど…」
一度言葉を区切って、周りを見渡す。
誰もいないことを確認してから
小声で話し始めた。
「DV専門の相談所なんだって。
ココにいる先生はその手のプロだし
プライバシーは確実に守られるから
もしよければ行ってみない?」
正直な話、私は最低な事を思っていた。
『この時間がもっと続けばいいのに。
このままズルズルと長引いて
ずっとこの関係を保てたらいいのに』
と。
「ぜ、ぜひ行かせて下さい!」
口から出た建前。
心はそれにNOを突き付ける。

