ね?と笑って見せると、
小泉先輩はコーヒーを一口。
その目は優しさに満ちている。
「なぁ、思ったんだけどさ。
『先輩』ってやめにしよう」
「え…?」
訳が分からず、戸惑っていると
「普通に小泉でいいよ。
俺、なんか知らないけど
親友にまで小泉って呼ばれるんだよなぁ。
たまに妻にも呼ばれるから、
お前も小泉だろ!って突っ込みたくなる」
…実際怖くて突っ込まないけどね。
小さな声で付け足す。
奥様がよっぽど怖いのかな?
でも、口ではそう言いながら
小泉先輩の頭の中も心の中も
奥様でいっぱいなんだ。
「じゃあ、会社では小泉先輩のままで。
こういう時は『さん』付けにします」
「ははっ、うん。それ採用」
小泉さん…
変な感じ。背中がむず痒い。
なんだか高校の頃の『初恋』みたいに
心に爽やかな風が吹く。

