「な、なんですか?
顔に何かついてますか?」
「いや…最近明るくなったからさ。
俺みたいな甲斐性無しでも
役に立ててるのかなぁって。
自惚れかな」
照れたように笑う先輩が
すごく可愛い。
ぁあ、今すごくこの人にキスしたい。
とろけるような、甘いキスを――
唇を噛む。
冷静になって、私。
先輩には大切な人がいる。
私にはそれをぶち壊すほどの勇気はない。
先輩は私を心配してくれてるだけ。
夢を見ちゃいけない人なの――。
「甲斐性無しだなんて、ご謙遜を。
先輩が親身になってくれたから
私は今笑えているんです」
心の内が外に漏れ出さないように、
完璧な作り笑いで耐えた。
作り笑いは得意なほう。
だって、夫の前じゃいつもコレ。
そういえば、彼の前で
本気で笑ったことなんてあったかな。

