あぁ、この人が旦那だったらな…
叶わぬ思いが胸を刺す。
チクリ、とした注射針が
私の胸をえぐるように割いていく。
「わ、私……どうしたらいいか…」
「八木は…旦那さんのこと愛してないの?」
「……」
答えられない。
彼のことは、嫌いではない。
好きかと問われれば、間違いなく頷く。
だが"愛しているのか"と聞かれると
胸の中を黒いモヤモヤしたものが
渦巻いて、それが何なのか分からない。
「離婚、もうちょっと待ちなよ」
「え…」
「今はもしかしたら、
頭に血が上っているだけかもしれない。
酷なこと言うかもしれないけど、
少し時間を置いて考えたほうがいい」
今の私は冷静じゃないってこと…?
ずっと頭のどこかが冷めていて
客観視していると思っていた。
突発的に離婚を想像したわけじゃなく
そういった自分の冷静な判断で
離婚、という重たい言葉が
浮かんできたのだ。

