彼は静かに立ち上がった。 視界が潤む。 決して彼が嫌いな訳じゃない。 嫌いじゃないけど、 『浮気』という行為を許せるほど 私の心は広くない。 一滴、涙が零れたとき 彼が振り向いた。 とっさのことだった。 抵抗する、間はあった。 でも出来なかった。 彼が『そんなこと』をするなんて 考えていなかったから。 思ってもみない出来事だったから。 私の右頬に、鋭い平手打ちが 飛んできたのは 彼が振り向いたすぐ後のことだった。