嘘だ…
何で………
何で僕を残してなんだよ…
「俊!
ぜってぇ離さねぇからな!!
帰るときは、全員一緒だ!!」
水城が僕の腕を今までよりきつく握り締める。
無駄だよ水城…
この世界は、今の科学ではありえない世界なんだ。
僕一人が取り残されるって言われたんだから、そうなるはず。
あらがいようもない現実。
いや、僕らは管理人が作り出したパラレルワールドの生物だから、現実でもないのか…
水城は涙を流しながら、僕に抱きつく。
ありがとう水城…
きっと僕は帰れない…
でも、帰れないおかげで、道も開かれるんだ。
時間になったのか、水城が少しずつ色褪せていく。
「奏ちゃんと幸せにね!」
僕の声は、水城の僕を呼ぶ声と重なり合い、そして…
水城は消え去った……
残ったのは僕一人…
それと…
これからやらなきゃならないことがある。
管理人を捕まえなきゃね…
手がかりならある。
まずは、ここから出ようか。
僕はゆっくりと歩きだした。