別に、体中から力が溢れてくるとかじゃない。
新撰組の羽織に能力は無いんだ。
それに、菊一文字だって、色が変わっただけで、他に変化はない。
ただ、この羽織を着るという事は、背中に誠の字の責任を背負うということ…
生半可な気持ちでは、着ることさえ無礼に当たり、許されない。
敏さんが僕に残してくれた品。
いわば形見だ。
敏さんは、この羽織を脱ぎ、亡くなった。
僕に、侍の魂を残してくれたんだ。
「まったく…
奇妙な刀だ…
今度は何の能力だ!?」
侑弥さんが今にも浅葱色の雷を刀から飛ばそうとでもするように、雷刀を振りかぶった。
来る!!
僕は菊一文字を横に構え、黄金の刄を見た。
防ぎきれるか?
浅葱色の雷は、侑弥さんが雷刀を振り下ろすにつれて、僕の方に飛んでくる。
枝分かれしたりしてるから、刀じゃ無理だね。
例え一つを防いだとしても、他の枝の雷が当たる。
なら、選択肢は広範囲攻撃で相殺させるか、疾風を使っての逃げ…
ここは……
「風刃!!」
僕は、足を動かした。

