古代エジプトで、アヌビスの魂に取りつかれていた時の敏さんと同じ殺気だ。
敏さんは、浅葱色の羽織を脱ぎ、GGMにしまった。
「俊…
僕は武士道を捨てる…
今の僕には、この誠を背負う資格はない…
怒りに任せ、仇を討つ…
武士としての冷静さは…
もう持てそうにない…」
敏さんはそう言うと、ゆっくりと左文字を抜いた。
緊迫し、静まった空気に、鞘を離れる刀の細く長い金属音が伸びていく。
「敏…
悪いけどトキちゃんの仇、取ってもらえないかな…
僕はこのお嬢様を倒さなきゃならない…
俊君、アテネは頼んだよ?
すぐに応援に行くから!」
永瀬さんは、拳を地面に叩きつけた。
戦闘開始だ!!
僕は、危険を回避するために、少し離れた場所まで走りだした。
後ろからはアテネが追い掛けてくる。
敏さんもおそらくポセイドンと戦い始めたのだろう。
地割れが起き、あちこちから尖った樹の根が生え始める。
二人の術は思っていたより広範囲だった。
僕は、疾風を唱え、さらにその場から離れた。

