「新入り。

おまえの大切なモノは何だ?」


ビルの階段を上がっている最中、相澤隊長が聞いてきた。

大切なモノ。

まだよく分からないよ…

そう思いながら、僕の頭には理沙ちゃんが浮かんでいた。

理沙ちゃんが顔の無い男と一緒に歩いている。

そんな情景と共に……


刹那、僕の中で化け物が目を覚ました。

あの顔の無い男を八つ裂きにしてやりたい。とにかく酷い目に合わせてやりたい!!

僕の中で目覚めた化け物は、今まで見たどんなモンスターよりも醜く、危険な臭いがした。


違う…

僕は自分に言い聞かせた。

小さい頃からずっと一緒だったんだ。

理沙ちゃんは僕の妹みたいなものなんだ。

理沙ちゃんに抱いたこの強い感情は、兄としての感情なんだ…

兄としての……

「何か思い当たる節があるみたいだな…

気を付けろよ?

甘い気持ちでいると、失うことになるぞ?」

相澤隊長は拳を握り締めていた。

指の間接が白くなるほどに…