「俊…

頑張ってね。」

奏ちゃんの力ない声が聞こえ、二人は馬に乗って行ってしまった。

みんながバラバラになる。

僕らが一番恐れていた事…

今それが、ついに現実になってしまった。

不意に理沙ちゃんの顔が浮かぶ。

理沙ちゃんには会ってもいない…

「あぁりゃりゃぁ…

置いてかれた男ってみぃじめだねぇ…

安心しなぁ、僕も経験あるからさぁ…」

目の前にあの時の浅葱色の羽織を着た男が地面から浮き出てきた。

「あなたが永瀬さんですか?」

僕は、彼が話していたことを完全に無視して質問した。

今は冗談を聞く気分じゃないんだ。

「おいおい!

つれないなぁ。

僕は早島だよぉ。

たっさんが待ってるんだ、ちゃっちゃと行くよぉ!」

そう言うと、早島さんは僕の踝を掴んできた。

「僕の事は敏って呼んでくれたらいぃから!

そんじゃぁ行こぉかぁ!」


敏さんは、笑顔でそう言った。


そして僕は、地面を進んでいった。