「で、何ていう店に行くんだっけ?」
大地君が頭を掻きながら僕に聞いてきた。
え?
まさか…
「僕は知らないよ?
さっきまでメモ用紙持ってたじゃん…」
僕は表情が強ばるのを感じた。
「どこに入れてたっけ?」
大地君は毛皮の服のポケットを引っ繰り返したりしている。
だからずっと辺りを見渡していたんだね…
『まぁ一言で表すなら極度のナルシと馬鹿だね。』
なるほど…
確かに……
僕はため息を吐き、一番近くにいた半透明の人に声をかけた。
「すみません。
装備を整えたいんですけど、どこに行けばいいですか?」
半透明の人はゆっくり振り返ると、無言で左前方にある店を指差した。
目を凝らすと、木製の看板が見える。
店の名前は《黙って寄ってけ!》
名前だけじゃ何の店か分からない。
でも、よくこんなに個性的な名前を忘れられたね…
僕は半透明の人にお礼を言い、大地君と一緒に店に向かった。
店の名前さえ忘れ、メモ用紙さえ忘れるパートナー。この先大丈夫かな…
僕達はゆっくりと店内へ入った。

