そう頭が理解するのに、あまり時間はかからなかった。
だって、あたしのすぐ横で2人が倒れていたから。
木仲さんをかばうように、直樹くんが下敷きになって。
2人も無事だと確認した途端、安堵のため息。
……をついたのは、あたしだけじゃないみたい。
「よかった……」
耳元で小さく聞こえた柔らかい声色に、鼓動が高鳴る。
ギリギリで助けてくれた黎緒先輩。
慌てた叫び声と一緒に、あたしを引っ張ってくれたおかげでこの通り。
「あたし、生きてる」
じわじわと、わいてくる実感。
そして今
「黎緒先輩!?」
死にそうです!
「いやあの、助けてくれたことに感謝はします。
けど、だからといって……そんなキツく抱きしめられるとあたし………」
きゅん殺しされるんですけどぉぉおおお。
「うぅっ、直樹、私…っ……」
「なっ、泣くなって」
もがきながら、お隣さんを窺うと
「直樹ーっ……!」
安心したのか、涙を流す木仲さんが直樹くん目指してダイブ。
そんな彼女の頭をそっと撫でる彼。
あれ?
なんだか、この展開いいんじゃない?


