「え、木仲さん!?」
名前に反応して慌てて回れ右すると、確かにいる彼女。
ニコニコしながら、こんにちはと挨拶が成されて。
「ひょっとして、今帰り?」
「はい、蘭さんが見えたので思わず声かけちゃいました」
うわぁぁああ、可愛いよ木仲さん!
その笑顔は女子に対しても反則だと思うの。
これから直樹くんに話しかけよう、って時に会っちゃったのは気まずいけど。
こうやって声をかけてくれるだなんて、感激。
………ん?待てよ。
いっそ直樹くんが、どのコなのか木仲さんに聞いちゃえばいいんじゃない?
それが1番手っ取り早いし。
よし、そうしよう。
我ながら名案だ。
「ねぇ木仲さん、直樹くんがどのコか教え───」
「花梨、」
「っ!」
あたしの意見を遮って、割り込んできた少し低い声。
と思えば、木仲さんがその声の持ち主に腕を引っ張られて。
「………あ、」
相手を見たあと、一瞬驚いた表現をしてから困ったように目を泳がす。


