とりあえず、お礼は言っておく。
あとで文句言われんのもヤダし。
たぶん、言わないだろうけど。
「礼なら、言葉じゃなくて行動で伝えてもらえると嬉しいんだけどなー」
「てめぇは、あたしに何を求めてんだ」
「ラブ!!」
はい、却下。
「勝手に言ってろ」
「えぇ〜、ちょっとくらいサービスしようぜ」
なーにが、サービスだ。
あたしの愛はそんな安くないんだからね。
冷めた視線を送りつつ、早歩き。
腕は……まだ掴まれたまま。
いい加減、放してくれないかな。
「ん?いきなり止まって、どうしたんだよ?
面白いもんでも見つけちゃった?」
「あのさぁ、腕、もういいでしょ」
ため息混じりに、奏斗の手を振り払おうとする。
なのに、いっこうに外れる気配がない。
むしろガッチリ捕らえられてしまうのは、なぜですか?
「いーじゃあん。
ついでだから、繋いでこうぜ」
「却下」
奏斗と手を繋ぐのだけは、ご勘弁願いたい。


