ね?と笑いかければ、笑いかけられた側も笑顔を返してくれる。
初恋は実らない。
なんて、よく聞くフレーズだけど
「あたしが木仲さんの恋、実らせてあげる」
これからの未来、初恋は実る、を定番の時代にするんだ。
いや、そうしてみせる。
誰であろう、この蘭ゆずゆ様が!!
「Love trap start★彡」
ゆずゆ流決めゼリフと、頭の中に流れたキラーンという効果音。
共に左手を腰に当て、右手を挙げて人差し指を天へと伸ばす。
うん、今のあたし、完璧キマってる。
「大船ではなく小船に乗ったつもりでいたほうが、後々気が楽だと思います…」
なにやら牡丹が木仲さんに忠告しているが。
「よしっ、恋のサポートがんばろ」
それは聞こえなかったこととしようじゃないか。
指差した先の空は、すでに半分が闇夜。
時間の経過に気づいたのは、それからしばらくしてからだった。


