黎緒先輩が楽しんで言ってるのは明らか。
冗談だろうけど、許可なんかしたら何されるかわかんない。
「嫌だったら、逃げてみなよ」
だったら遠慮なく逃げさせていただきま……
「───きゃっ!」
イスから立ち上がろうとしたのが間違い。
無理な体勢をとったせいで、イスが倒れてそのまま自分まで傾いて。
途中で黎緒先輩があたしの腕を掴んで引っ張ったから、なんとか倒れずにはすんだ。
支えようとしてピアノに置いた手が、雑に音を鳴らす。
「ゆゆ、大丈夫か!?」
途端に音楽室に見慣れたヤツが入って来た。
きっと今の悲鳴とピアノの音で、ここだって気づいたんだろう。
「奏斗、先駆けしたら殺しちゃうよぉ!」
「先駆けしねーっての。
つか、ゆゆ………って、黎緒先輩?」
騒音になりかねない大声を発する男子2人組。
「うわーーーん」
静かにしろ、って注意しようとしたけど遅かった。
「なんだよ、風音うるせぇぞ」
「なんで黎緒先輩とゆゆが密着してるのー!
ゆゆはボクのものなのにーっ」
………誰か、この騒音ボーイを止めてください。


