なんだ……一緒に帰れてることに、浮かれてた自分がバカみたい。
「……凪兎は、あたしのことが…っ嫌い……うぅっ」
「いや、だから、ゆず───」
「嫌いなら名前呼ばないでっ」
叫んだあたしを見て、一瞬凪兎は手を引っ込める。
けど、また後退れば伸ばされる手。
「来ないでって言って──ひゃっ」
次の瞬間、うしろへと踏み出した片足が邪魔をする石のせいで崩れた体勢。
びっくりしたのと同時に、倒れかけたあたしの腕を凪兎の手が引っ張った。
勢いによって、急速に縮まった距離。
真っ暗になった視界に半ばパニックになって、離れようと押し返す。
が、簡単には離れられなくて。
「ごめん、今のは俺が悪かった。
冗談だから」
包み込んでくれるぬくもりに、よりいっそう零れる涙。
優しく髪を撫でる手。
抱きしめてくれる腕。
そう認識したら、もうどうしようもなくて。
「真顔で冗談つかないでよ…っ」
嗚咽混じりに言ってから、凪兎の服をぎゅっと掴む。
「ごめん、謝る」
あたしの言葉に応えるように慰めてくれるから、もっと甘えたくなって。
涙が止まるまでの間、服を握った手はそのまま。


