あたしが頷くのを確認するために、こっちを見て。
「んー‥えっと、教えなきゃダメ?」
絡んだ視線の先には困った表情。
こうやって確認するってことは、話したくないってこと?
「嫌なら、教えてくれなくてもい───」
「それじゃあ、秘密ってことで!」
助かったとでも言うように、満面の笑みを浮かべて言われる。
ここは、遠慮したあたしに対して優しく教えてくれるべきじゃないの?
知りたいことを隠されると、心の中がもやもやするじゃん。
もし、涙って名前の理由が初恋の人の名前だからとかだったらどうしよう。
他にも元カノとか、近所の憧れのお姉さんとか。
はたまた、昔飼ってたペットの名前とか。
って、何を勝手に妄想してんだあたしは。
ないないない、ありえないよね。
「なーにまた百面相してんの?」
考え込むあたしの顔を覗き込むように、目線を合わせる凪兎があまりにも近くて。
「へっ!?
あ、ううん、別に!?」
慌てて遠ざかりながら答える。
はぁ……ヤバい。
心臓が、また暴れ出しそうだ。
何が面白いのか知らないけど、凪兎は楽しそうに笑ってるし。
人の顔見て笑うなんて、失礼だぞ。


