でも、凪兎をあたしに近づけたのは亜蓮だって。
「名前は、知ってたよ。
亜蓮さんから話聞いてたし」
…ですよね。
「初めてあんたに会った時は“ゆずゆ”じゃなくて“ゆゆ”って名前だと思ってたけどさ」
そういや、そんなこともあったっけ。
【あんた、ゆゆって名前なの?】
あの時の会話、今でも思い出せる。
【恋愛とか。
束縛されんのが苦痛でさ】
そんなことも言ってたよね。
自由な人なんだなって思ってたけど、実際はそんなことないのかな。
「あの日は……仲間に会いに行く途中で、紅のヤツらが彷徨いてたから寄り道してたんだ」
明かされていく真実。
この際だから、気になること聞いてもいいよね?
「あのさ凪兎、もう1つ、質問してもいい?」
「ん?」
「なんで、涙って名前にしたの?」
深い意味なんてないかもしれない。
それでも、あたしが最初に知ったのはこっちの名前だったから。
黎緒先輩に見せてもらったメールが、最初だったから。
「知りたい?」
相変わらず前を見たまま話す凪兎の横顔を、じっと見つめた。


