両手で顔を隠すあたしに対して、凪兎は八重歯を見せて笑う。
ズルい。
不覚にも、胸きゅんしちゃったじゃん。
「ゆずゆは、俺たちが初めて会った日のこと覚えてる?」
視線をまた前に向けて、唐突にそんなことを訪ねられて。
「初めて、会った日?」
あたしも街灯に照らされた路上を見つめると、記憶を巻き戻した。
「場所は、埃っぽい物置倉庫だったっけ?」
確か、牡丹を探してたんだったよね。
それで、春海に捕まって。
牡丹の居場所がわかって。
愛美ちゃんと出会って。
愛美ちゃん……?
そういえば、その日牡丹の家で聞いた話の中に
「ねぇ、ひょっとしたらなんだけど、凪兎って愛美ちゃんと知り合いじゃない?」
“ルイ”って名前が出てきてたような。
「愛美?
んーと、催眠かけられた女の子だっけ?」
「うん」
そうなんだけど、そう言われるとあたしも……催眠かけられた女の子なんだよね一応。
なんだろう、この複雑な心境は。
「知り合い、って聞かれればそうかも。
特別仲がいいわけじゃないけど」
「…そっか」


