「気をつけて、帰ってくださいね」
「じゃあね」
次いで、牡丹と黎緒先輩が答えてくれる。
風音はどこか躊躇うようにあたしに寄ってくると、勢いよく言葉を発した。
「本当は嫌だけど許してあげる。
ゆゆはずっとボクだけのって思ってたし、これからもそうだけど……今日だけ貸してあげるんだからね。
だから明日はボクのゆゆに戻るんだからね。
もし凪兎ってヤツがゆゆを傷つけたら、すぐにでも殺し───」
「箕笙、うっせーんだよ。
安眠妨害すんじゃねー」
延々と続きそうな話を、ご機嫌斜めの寿羅が止めて。
助かったよ、なんだかまた危ない方向に行きそうだったもの。
「ゆゆぅ、またねのハグだよー」
口をへの字にしたまま、抱きつくと風音はおとなしく奏斗の向かい側に戻ってく。
「寿羅、また明日ね」
起きたついでに挨拶を。
と、思って一応声をかけてみたけど。
「また泣いたのかよ、ありえねー」
こっちをチラ見された上に嫌味っぽく言われる始末。
もしかして、目が赤いのバレてたの?
「我慢してんじゃねーよ」
けど、その後の口調が優しい気がするのは
「え、寿羅、心配してくれてるの?」
「してねーよバカ、てめーに泣かれるといろいろ迷惑なんだよ。
そんくらい理解しやがれバカ」
たぶん、気のせいじゃないよね?
バカは余計だけどさ。


