「謝ったら罰金。
前に話したの覚えてる?」
ちょっと意地悪そうに、向けられた笑顔。
うん、ちゃんと覚えてるよ。
しっかり相手の目を見て頷く。
「じゃあ……俺の言うこと、1つ聞いて」
言われて首を傾げると、握っていた左手があたしの右手を強く握り返した。
「家まで送ってくから、一緒に帰ろう」
内心ちょっと驚いて、すぐにはできなかった返事。
思考回路が繋がって内容を把握してから、慌てて立ち上がる。
「わ.わかった、荷物持ってくるから待ってて」
ドキドキと鼓動を打つ胸を抑えて、バタバタと部屋を出る。
部屋を出た瞬間、壁に寄りかかってへろへろと座り込んだ。
……どうしよう、すっごく緊張してる。
息が止まっちゃいそうなくらい、ドキドキが苦しい。
何度も深呼吸して歩き出すと、荷物を取りにみんなのいる場所へ向かった。
先程と、たいして変わりない様子。
変化と言えば、片付けを済ませた牡丹と黎緒先輩が、2人並んで外を見ているくらい。
「あの、さ」
誰か1人にではなく、全員に聞こえる大きさで話す。
「凪兎が、送ってくれるって言うから先に帰っても……」
言い出すにも気まずくて、無意識に口ごもる語尾。
「おー、また明日な」
真っ先に答えてくれたのは、トランプを見つめたまま明るく喋る奏斗だった。


