頬から移動させた自分の右手は、凪兎の左手を握る。
「刻印がなかったら…っ……あたしたち、出会えてなかったよね」
敵だと隔ててしまう証が憎いけど、同じくらい大切で。
きっと、こんな関係じゃなかったら凪兎を好きになることもなかったかもしれない。
「大好きだよ、」
止まらない涙を流しながら、やっと伝えられた変わらない気持ち。
強く、凪兎の左手を両手で握る。
すると、不意に握った左手が優しく涙を拭ってくれた。
「凪兎……っ?」
びっくりして視線を向けると、目を開けてつらそうに微笑むキミ。
「目、覚めたの?」
左手はずっと握ったまま、顔を近づけると絡み合う視線。
「ゆずゆ、ごめん」
最初に、凪兎が謝った。
「本当は起きてたけど、あんたに何言えばいいかわかんなくて。
寝たふりしてた、ごめん」
いつも通りだ。
あたしの知ってる、優しい凪兎だ。
「俺、あんたのこと泣かせてばっかだな」
静かにそう言って、また涙を拭ってくれる。
お互い無言のままで、まるで時間がゆっくりと流れているみたい。
あたしが落ち着きを取り戻してくると、凪兎は上半身を起こして話を続けた。


